犬の予防について
犬において当院でおすすめしている病気の予防としては次の4つがあります。
①狂犬病ワクチン ②混合ワクチン ③フィラリア病予防 ④ノミ・ダニの予防
○狂犬病ワクチン
名前に“犬”という字があるため、犬だけの病気と思われがちですが、そうではありません。狂犬病は人を含むほ乳類全てがかかる病気です。
人の場合動物に咬まれて感染、発症しますが、その咬まれる動物は犬以外でも、猫やネズミ、吸血コウモリなどによる場合もあります。
日本では、1950年に狂犬病予防法が施行され、飼い犬の登録、及びワクチン接種が義務づけられています。
「うちの犬は室内飼育で、外に出さないから接種しなくていい」
というのは間違いです。
狂犬病ワクチンの接種は法律上、飼い主の義務です。
忘れずに接種してあげてください。生後90日を過ぎた犬は、狂犬病ワクチンを接種する必要があります。
○混合ワクチン
犬の場合、現在2種~9種までの混合ワクチンがあります。当院では現在6種及び9種の混合ワクチンを用意しております。
6種混合ワクチンは、犬ジステンパー、犬アデノウイルス感染症、犬伝染性肝炎、犬パラインフルエンザ感染症、犬パルボウイルス感染症、コロナウイルス感染症に対するワクチン6種が入っています。
9種の場合は、上記の6種に加え、レプトスピラ病のうち3種が追加されています。
この地域での一般的な飼育では6種混合ワクチンが一般的かと思います。しかし山の方へ行く機会が多い場合であれば、9種混合ワクチンが安心な場合もあります。
どちらがいいのか不明な点は接種時にご相談ください。
接種の予定は、6種混合ワクチンの場合は生後4週齢以上で1回目を、その1ヵ月後に2回目の追加接種をします。9種混合ワクチンの場合は生後6週齢以上で1回目を接種するようにしてください。
その後はともに年1回の追加接種をおすすめしております。
○ フィラリア予防
フィラリアとは蚊が媒介する寄生虫です。
犬がフィラリアに感染し、その虫が心臓や肺の血管に寄生することにより、血液の流れが悪くなり、心臓病と同じような症状を起こし、死に至ることもある病気です。
フィラリア症の主な症状としては、
・元気や食欲がない
・せきが出る、呼吸があらい
・お腹がふくらんでいる
・尿の色が赤い
などがあります。
現在は感染してからの治療よりも予防が一般的です。
予防薬には飲ませる薬、注射、背中に垂らす薬などのタイプがあります。
飲ませる薬、垂らす薬は月1回投薬することで予防していきます。
注射の場合は1回の注射で1年間持続して予防することができます。
すでにフィラリアに感染している犬に予防薬を飲ませた場合、体調が更に悪化する可能性もありますので、事前にフィラリア感染の有無を検査していく必要があります。
また予防時期としては5月末~11月末までを推奨しています。
途中で予防をやめてしまうと、フィラリアに感染する可能性があるため、忘れずに予防してあげましょう。
○ ノミ・マダニの予防
ペットを外に散歩に連れて行く場合、その散歩のコースによってはノミやマダニがペットについてしまうことがあります。
春から秋にかけてノミ・マダニともに発生が多く、多くは草むら等でペットに寄生します。ノミは尾の付け根あたりに、マダニは顔のまわり(目、耳、唇)につくことが多いです。
ノミの寄生による症状は体のかゆみです。
場合によってはノミの唾液等によるアレルギー症状がでることもあります。
ノミがいるかどうかは、毛をかき分けていったときに大きさ1~2mmのノミを発見するか、ノミの糞が地肌に付いていることがあります。
またノミは瓜実条虫という腸内の寄生虫を媒介することもありますので注意しましょう。
マダニは、はじめ数ミリmm程度の大きさですが、血を吸うと1cm程度の大きさになります。そのためマダニを知らない方は、「できものができた。みるみる大きくなるのでガンかもしれない」など勘違いされることもあります。
少量の寄生では症状がでることも少ないですが、大量の寄生ではマダニにより血を吸われることで貧血を起こすこともあります。
またマダニはバベシア症や、人も感染するSFTS(重症熱性血小板減少症候群)などの病気を媒介することがありますので注意が必要です。
当院でのノミ・マダニの予防及び治療には背中につけるタイプと飲ませるタイプがあります。どちらも効果としては同じですので、どちらがいいかはご相談ください。